令和8年4月12日開催
2026年4月12日(日)、東京都立川市近郊にて「つき貫ける合気」研究会が開催された。ちなみに「つき貫ける合気」とは、相手に技を掛けようとする際、相手の力の壁へまともに当たってしまって相手に力が伝わらず技を返されてしまう時、力の方向を変えたりトリッキーな動作で無理やり相手に技を掛けるのではなく、自己の合気力を相手の体幹中枢へ透す事で、小手先ではなく相手の体幹から崩す合気技である。
今回の研究テーマに取り上げられた技は、小手返し、側面入り身投げ、四ヵ条であった。まずは留意点などについて代表師範が説明をする所から研究会は始まった。
代表師範いわく、どの技でも結局やる事は同じで、技を掛ける際に末端へ向かってしまうと、相手に抵抗されて技が掛からない。だから触れている末端を忘れ、体幹中枢へ直接掛けるようにするべきであるとの事であった。
例えば小手返しの場合なら、小手を外側へ返そうする行為が末端へ向かうアプローチにあたる。末端へ向かって技を掛けると相手の下半身は崩れず、相手に逃げられたり反撃されたりするのである。側面入り身投げの場合は、相手の胸に当てた腕で相手を後方へ押すような掛け方、四ヵ条だと相手の手首に激痛を与えて倒すような掛け方が末端へ向かうアプローチにあたり、相手に逃げられたり、耐えられてしまいやすい。
上記のような留意点を踏まえ、どの技においても末端へ向かう事なく、相手の体幹中枢へ直接に合気力を伝えていくよう技を掛ける事が肝要である。
ただし、力の伝え方も素直にただ伝えていけば良いわけではない。相手と同じステージで技を掛けていても、相手の力と正面からぶつかってしまうので力が伝わっていかない。だから、自分のステージを変えて相手の体幹中枢をすり抜けるように力を伝えていくようにするのである。
参加者たちは『相手とステージを変える』という代表師範の発想について体現するのがまだ難しいようだった。しかしながら、この発想は代表師範個人の感覚的なものであるので、個々に違う人間である参加者たちが同じ感覚を共有するのが難しいのは当然である。
そうなると代表師範の話と自己の経験を照らし合わせ、基本的な部分で同じような内容の感覚を得られているかをその都度確認し続ける事で、自己の習得が進んでいるのか否かを判断するしかないのではないかと思った。
基本的な部分を研究した後は、それぞれの技の組手における使い方の研究をした。型稽古では、よく相手に自分の手首を取らせてから技を掛け始めるような、いわゆる「後の先」でおこなう技を稽古する。しかし実戦において、わざわざ相手に腕を取らせるシチュエーションは皆無と言ってよい。なぜなら取られるまで待っている必要性がないし、体格差や力の差も加味すると、取られたらやはり不利だからである。つまり「後の先」では遅いのである。また、組手を通して研究してみるとわかるが、腕を取るように出して誘ってみてもその腕を素直に取りに来る人はいなかった。
そう言うと、それは取らせようとしているのではなく、取られた場合を想定している稽古だと考える方もいるかもしれない。もちろん結果的にたまたま両腕を掴まれる状況もあるのは事実だ。
しかし武道的に考えると、やはり掴まれる事自体がリスキーであるから、その前に反応して自ら技を掛けていける方が望ましいはずである。組手をやっているとそれを痛感する場面は多かった。特に両腕を取られた状態からだと、双方が膠着状態に陥る確率が非常に高く、型稽古のように華麗に捌いて技を掛けるどころか、抜け出すだけでも一苦労である。
ではどのようにすれば良いのかというと、自ら技を掛けにいくという、いわゆる「先の先」のアプローチが重要になってくる。
だから今回の研究会では、相手が仕掛けてくる前に自分から仕掛けていく想定で研究を進めた。そのため、どの技の研究も相手が仕掛けてくる前の状態、すなわち直立した相手に対しておこなった。
小手返しでは、おろした状態の相手の腕を持ち上げる事なく、自ら触れた部分から合気力を相手の体幹中枢へ透して掛ける研究をした。そうすると相手はその場で尻もちを着くように崩れて倒れるのだが、参加者がやってみるとその場から相手が動いてしまい、上手く崩れなかった。それはおそらく、相手の腕など末端へ向かってしまっているのが原因であると考えられる。末端へ向かった結果、相手の下半身が生きていたので、相手は足を後方へ出せたのである。相手に足を出させないためには体幹から崩しておく必要がある。そのためにはもっと体幹中枢へ直接アプローチする方法を研究して身につける必要があると感じた。
側面入り身投げは直立した相手の肘に外側から片手で触れ、回転して崩しながら掛ける方法を研究した。この時、崩してから掛けるのではなく、崩しながら掛けるという一挙動の動きである事に留意するのがポイントだった。
四ヵ条も手首を極めて激痛を与える事なく、触れるだけで直立した相手がその場に尻もちを着くような掛け方を研究した。掛ける際に自己の両手で触れるのは「手首と手首」という組み合わせだけではなく「手首と肘」または「手首と肩」でも良いというのがとても興味深かった。正直、四ヵ条とは思えない掛け方にも見えたが、身体のどこでも触れた所から体幹中枢へ合気力を透せば相手を倒せるというのは、実戦においてとても有用だと感じた。
今回の研究会を通して気づいたのは、体幹中枢へ向かって掛けているつもりでも、無意識的に相手の末端へ意識が向いてしまっているという事だ。如何に末端を忘れて技を掛けにいけるかが今後の課題になってくるだろう。繰り返し基本に沿った技を稽古して経験を深め、体幹中枢へ力を透す方法を感覚的に身につけていきたい。
<合気道S.A. 広報部>

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