令和8年2月23日開催
令和8年2月23日、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“新合気術 実証研究会”が開催された。
ちなみに“新合気術”とは…“ 合気道S.A.の合気道組手や型稽古から培った技法で、相手が見切って攻撃する刹那に仕掛ける技法や、自らが相手と擦れ違いざまに仕掛ける技法などが集約されている術理体系の事である。その術理は…相手の末端を極め制するのではなく、相手の体幹中枢に合気力を通して崩し制するものとなり、相手に受け身を取らせる事無く崩し潰すものとなる。
相手が受け身を取れるのは、まだまだ相手に力の余裕がある証である。代表師範によると「演武はウソで本物ではない」植芝盛平先生がずっとそう仰っていたと塩田剛三先生から何度も聞かされていたそうである。植芝盛平先生が思い描く合気道は、技が掛かれば相手は一瞬にして受け身も取れずに潰れ、二度目の攻撃など到底出来ない程のダメージを与える武術である!との事である。
新合気術では、このように一瞬で極める事を求めるのが武道・武術の本来の姿だと考え、刹那の接触で決着がつく技を目指しているのだ。(合気道S.A.本部YouTubeチャンネル参照)”という合気道S.A.の新しい部門である。それにより大会ルールについても今までのオープントーナメントと比較して若干の変更があった。詳しくは合気道S.A.本部HPにてご確認をお願いしたいが、主に打撃技・肘への関節技等についての変更となる。
合気道S.A.から新合気術へと進化するにあたって、技自体は先程述べたように全ての技が“相手の体幹中枢へ合気力を通して崩し制するもの”となり、この部分が肝腎要の重要な点となる。即ち、極論すると技の形といった枝葉末節にこだわるのではなく、触れた所から(櫻井代表師範曰くそこからパイプを繋げて)相手の体幹中枢へと合気力を通す事が全てとなるのだ。正しく“一が全・全が一”であるが、それ故に非常に難しい技であるのだ。現状、我々も代表師範の技に少しでも近づこう・体現しようと努力と稽古を重ねているが、中々思うように“合気力”を通す事が出来ず、容易に相手の抵抗・反抗を受けてしまうのが現実である。
こればかりは代表師範も通って来られた避けられない道との事で、如何に考え・如何に工夫し・如何に我慢出来るかであり、決して短絡的に力で捻ったり方向を変えるといった小手先の技に逃げるのではなく本質を貫くものを身につけねばならないとの事である。最近になって漸く私自身も“全ての技は1つである”という事が朧げながら理解する事が出来るようになって来たが、それ故に大変大きな壁にぶつかってしまっているのが現状である。いきなり代表師範のようにシッカリと抵抗している居着いた相手に技を掛けるというのは難易度が高いので、先ずは捌きと崩し(こちらも奥深いものであるが今回は言及しない)により相手を崩し自分の術中に嵌めた状態で、その流れの中での身体運用を正確に行う事により技を掛けられるようになる事を目指し、それに加えて自分の地力を上げて行くという過程が必要不可欠なのであろう。
代表師範の仰る“薄皮一枚一枚を丁寧に積み重ねて行くような地味で我慢を必要とする稽古”を重ねて行ったその先に、初めて我々の目指す代表師範の技が“見えて来る”のであろう。
さて新合気術実証研究会である。今回で名称変更後2回目の開催となる。出場選手達も初回の研究会ではルールの変更・また新合気術という新しいものへの理解不足等もあり、色々と確認したり試したりするような形での参戦であったが、今回は研究会の趣旨・代表師範が目指す方向性等々への理解も深まっていたように思えた。
そもそも合気道の組手や試合というと皆様のイメージとしては“華麗な技の応酬で派手に飛んだり跳ねたりする演武”のような戦いを想像されるかとは思うが、実際の組手や試合ではそんな展開にはならず“泥臭く地味なもの”となるのが現実である。お互いに技を知り尽くしており、当然相手に負けたくないという心理も働くので、技への抵抗や反撃といった演武ではとても見られないような“本気”が入って来る為である。合気道S.A.では長年組手や試合を行なって来ているが、その実際の戦いの中では所謂“今までの合気道界の常識”といったものが一切通用しないという現実に直面する事になったのである。
1つの分かり易い例を挙げると、合気道で有名な技として四方投げがある。華麗で格好の良い技であり、技の中でも重要なもので非常に有効な技だとされているが…実際の本気の戦いの中では全く通用しなかったのである。勿論、技術差が大きかったり、初見の他武道や一般の方においてはその限りではないかも知れないが、合気道S.A.の長年の歴史の中においては四方投げが極まったのは1・2回有るか無いかといった非常にレアで極まり難い技であったのだ。代表師範が以前、この事実を公開した所、様々な意見が出たそうであるが、これが疑いようのない現実である。そのように実際の戦いの中から代表師範が実際に使える技というものを理合から根本的に見直し、合気道S.A.の技を構築されて来たのである。それこそが“進化する合気道”たる合気道S.A.の所以であり、批判をものともせず常に進化・歩みを止めなかった結果として、この“新合気術”が合気道S.A.の新部門として誕生したのである。
どうしても組手や試合となると力技になってしまい、引っ張り・掴み合い・力比べ・膠着状態となってしまう事が多い。それを更に力で何とかしようとすれば“力対力”になってしまい力や体格勝負となり、本来の合気道の“小よく大を制す・柔よく剛を制す”からは乖離したものとなってしまう。それを構え無しの状態から相手に触れた瞬間に相手を崩し技に入る。これが代表師範の導き出した答えであり、そうでなければ技にはならないとの事である。
今回の具体的な試合内容を見てみると、参加者は各々その辺りの意識を強く持ち、接触時を大切に、また相手への崩しといったものへのチャレンジが出来て来たように思えた。しかしやはり各々その難しさを痛感したようであり、代表師範の技の解説や、実際に代表師範の技を受けられる機会には積極的に参加し、常にも増して貪欲に学ぼうとする姿勢が顕著に見られたように思える。
まだまだ代表師範の思い描く理想の組手・試合には遥かに遠いのが現実ではあるが、これらの探究心を持ち続けて更なる努力を続けて行ければ、この先また違った世界が開けて来るかもしれないとの期待感を持つ事が出来た。
合気道S.A.から新合気術へ…代表師範の中では両者の明確な区別が出来て来たそうであり、更に進化する気配を漂わせている。これから先どうなって行くのか期待をせずにはいられないのが正直な気持ちである。
合気道S.A.・新合気術では門下生のみならず、他武道・他流派の方々の積極的な参加も心待ちにしている。我々は自分達の中の小さな世界だけで完結する事無く、広く交流を行い、それぞれに技が広がり理解が深まって行く事を常に切望しているのだ。
今回のレポートに書いたように“四方投げが試合では使えない”といった点に疑問をお持ちの方々、また自分達の技は通じる・大丈夫だとお考えの方々等々、是非とも新合気術実証研究会への参加を考えてみては如何だろうか??お互いに切磋琢磨し、更なる高みへと到達したいという気持ちを失わず持ち続ける事は非常に重要な事だと考える次第である。
<合気道S.A. 広報部>

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