令和8年1月18日開催
令和8年1月18日、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“つき貫ける合気”研究会が開催された。
“つき貫ける合気”とは「相手の力の壁にある繊細な隙間から無理なく力を相手の体軸につき貫き技を掛ける合気技」という意味を持つものである。
今回の研究技は“天地投げ・下段腕絡み・一ヶ条抑え”である。今回も全国から参加者があり、通常の稽古とは違う雰囲気で常日頃の自分の稽古の積み重ねを試す事の出来る稀有な場となったのである。
最初は“天地投げ”についての研究である。通常の合気道の天地投げというと、相手の両手を天(上方)と地(下方)へと大きく斬り分け体勢を崩して前進しながら投げるといったものであるが、合気道S.A.(櫻井代表師範の技)では両手を添えた所から合気力を相手の体幹中枢へ通して崩し投げる技となる。他の流派のような派手で大きな動作を必要とせず、小さな最小限の動きで相手に力を通して崩してしまうのである。こちらの天地投げは合気道S.A.が公開している公式動画にアップされているので是非とも参照していただきたい。
先ずは相手からガッチリ両手を取られた状態からの研究開始である。合気道S.A.では受けは忖度する事無く相手の力に反応出来れば遠慮無く反応するし抵抗もする。どうしてもガッチリと掴まれると両手に意識が行ってしまいがちであるが、そこは無視して相手に反応されずに崩す事が出来るかどうかの研究である。参加者は長年の稽古を重ねており技もよく知っている者達であるので、その反応・抵抗を超えて崩すというのは中々に至難の業である。皆、頭を悩ませつつ試行錯誤を繰り返すがそうそう上手くはいかない。しかし代表師範の技を実際に受けてみるとまるで魔法のように簡単に崩されてしまう。これは本当に驚きである。代表師範曰く漠然と取らせるのではなく取られる時点で既に“相手側を取っておく”事が重要であるという。
この“取る”という感覚の説明は難しいものであるが、その時点で自分の術中に嵌めて相手の体幹中枢を自分のものにしてしまうという事のようだ。正しく自分の体幹中枢を取られてしまっている感じで、代表師範が少し動いたと思った時には自分はもう腰砕けになってしまっているのだ。またこの時に相手に取られた“接触点”自体を動かすのではなく(相手に反抗する理由を与えない)接触点から相手に”パイプを繋げて合気力を体幹中枢へと通していく”のだという。相手が動いた後にその流れに乗っていくという事で、確かに接触点自体は動かされているという力は何も感じず、自然と自分が腰砕けになるという不思議な感覚なのである。この感覚を体験した後、次の段階である自分から相手の両肩を取りに行きそこから力を通す研究へと入る。これは相手の両手を持って崩すのに比べ、両肩だとより相手の体幹中枢へ近い為、更に難易度は上がるのである。
しかし代表師範は相手の両肩に手を添え本当に小さな動きで一瞬で簡単に崩してしまう。こちらも公式動画にアップされているので参照していただきたいが、本当に両肩への力は感じないのに勝手に自分から腰が崩れるのだ。これについても代表師範の詳しい解説と、また実際に様々な状況で実際に技を受ける事でこの不思議な感覚を体験しつつもあっという間に時間は過ぎて行ったのである。
次は下段腕絡みである。先ず自分から立ってる相手の肘を外側から取りに行って崩し下段腕絡みに入るという、合気道S.A.というよりも櫻井代表師範の最新技術体系である”新合気術”における崩しに近いものである。こちらの“新合気術”についても公式HPや公式動画を参照していただきたい。そもそも下段腕絡み自体も難しい技であるが、この崩しも本当に難しいものである。相手の肘辺りを自分から取りに行き回転の力で崩していくのであるが、この場合、肘を掴んだり握ったりすると相手に反応されてしまい崩す事は出来ない。シッカリと相手を“取った”上で肘に触れた手はあくまで接触点であり、そこを動かそうとするのではなくそこからパイプを繋げて合気力を相手の体幹中枢へ通す事が必要となるのだ。
今回、その崩しについてもある程度の時間は取ったが、技との時間の兼ね合いもありそれ程深く詰める事は出来なかった。その辺りは新合気術や新合気術合宿でシッカリとやる予定であるので、興味のある方は是非そちらにも足をお運びいただきたい。余談ではあるが、新合気術ではこの崩しだけで受けは何も出来なくなり、もう技は必要無いのでは??と疑問に思う程の威力がある。閑話休題、その崩しが上手くいったとしても、下段腕絡みはその相手の崩れた状態をずっと維持しつつ技に入らないと容易に相手の抵抗を受けてしまう。相手の腕が1本に対してこちらは2本の腕と明らかに優位な状況であるにも関わらずである。この場合、自分が優位な状況にも関わらずどうしようもない拮抗状態に陥ってしまう事が多々あるが、その課題をなんとかしたいと研究を深めたのである。
この点、代表師範の技を受けてみると本来力が拮抗してる状態でどうしようもない筈なのに、あっさりと嘘のように簡単に投げられてしまう。接触点である持ち手には何らの圧も感じないのに自分の強い所(体幹中枢)へと力を通されていく不思議な感覚、本当に代表師範の技は奥深いものであると痛感しながらも下段腕絡みの研究を終えたのであった。
最後は一ヶ条である。一ヶ条は合気道S.A.の基本技の中でも一番最初に学ぶ技であり、また確かに基本的な技であるが、それだけに実は奥深い難しい技なのである。先ずは立ってる相手の肘を内側から取りに行って崩すこれまた新合気術的な崩しからの研究開始となった。先の下段腕絡みの時は肘の外側から手を触れて崩したが今回はその逆パターンである。こちらもかなり難易度の高い崩しであるが、肝はやはり“相手を取り、接触点自体は動かさずそこからパイプを繋げて合気力を相手の体幹中枢へと通す”事にある。一ヶ条に入る前に参加者全員こちらにも頭を悩まされたものである。
こうして崩しについても理解を深めつつの一ヶ条であるが、こちらも受けに頑張られてしまい全く動かない膠着状態になる事が多々存在する。しかしこれらの課題に対しても我々は頭を抱える状態であったにも関わらず、代表師範は下段腕絡み同様にアッサリと我々を倒してしまうのであった。
今回の研究会において3つの技に共通するのは…何度も繰り返しになり恐縮ではあるが…“相手を取る・持ち手や取られた部分の接触点は力を入れず(相手の抵抗する理由を与えない)そこからパイプを繋げ相手の体幹中枢へと合気力を通す”という事になる。これに関しては、実は現在の合気道S.A.・新合気術共に共通するものであり、更には全ての技へと共通するものであるのだ。しかし“言うは易く行うは難し”という言葉通り、実際に自分でそれを体現してみようとすると途端に難易度は跳ね上がるのである。
現状、我々に取っては理解不能な摩訶不思議な技ではあるが、櫻井代表師範は稽古と理合の積み重ねによりそれらを現実に体現されており、またそれらは我々にも体現する事が可能(であるかもしれない)と仰っておられるのだ。頭に汗をかく中身の濃い内容のある稽古を重ね、薄皮を1枚1枚積み重ねて行ったその先には代表師範の技が存在するという事を信じて、シッカリと稽古に励みたいものである。
また、今回の研究会は組手への応用として、組手での相手の崩し方・技への入り方も学べた貴重な機会となった。櫻井代表師範の技を公式動画等で目にして興味を持たれた方・S.A.門下生・他流派・他武道の方々等々、合気道S.A.では広く門戸を開放している。一歩踏み出して新しい世界の扉を開いてみては如何だろうか??そこには決して後悔する事の無い、目から鱗の貴重な体験が貴方を待っている事であろう。
<合気道S.A. 広報部>

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