令和7年10月5日開催
「つき貫ける合気」研究会 レポート
令和7年10月5日、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“つき貫ける合気”研究会が開催された。“つき貫ける合気”とは「相手の力の壁にある繊細な隙間から無理なく力を相手の体軸につき貫き技を掛ける合気技」という意味を持つものである。
今回の研究技は“肘極め・四方投げ・二ヵ条抑え”である。今回の研究会は各支部からの参加者に加え、他流派の合気道を長年修行されてる方も参加され、バラエティに富んだメンバーとなり非常に興味深い研究会となった。
それでは肘極めから研究開始である。今回は回数を重ねて技自体は何度も回している事もあり応用技的な内容の研究となった。まずは片手持ちであるが…普通に片手を取らせるのではなく手を取られる瞬間に“空かして”相手を崩し肘極めに入る技である。その“空かし”という動作が重要で、単純に手を先に動かしてしまうと相手に悟られてしまい崩す事は出来ない。相手が“取れる”と感じ正に掴もうとする瞬間に“下に空かす”事により初めて完全に崩す事が可能になるのだ。今回はこの崩しに加え、最近の合気道S.A.では肘極め自体も単純に肘関節を極める技から“接触点から相手の体幹中枢へ合気力を通して直接体幹中枢を崩す技”へとシフトしている事もあり、そちらの技についても研究を行う事になった。この“体幹中枢を直接崩す”というものであるが…抵抗しようとしても全く無意味であり痛みも無いのであるが自然と腰から落とされてしまうという不思議な感覚である。痛い技であったり単純に関節を極める技であれば容易に抵抗する事は可能であるが、体幹中枢へと力を通されるといかに本気で抵抗していたとしても不思議と力が入らず自然に落とされてしまうのである。
合気道S.A.では他流派と異なり、ある程度上級者同士の稽古ではお互いに抵抗し合う状態でも技を実際に掛ける事が出来るかどうかの稽古も行っているので、このような検証も可能となるのだ。櫻井代表師範曰く“相手が最も自信を持っている強い所を崩す事により何度も掛かる抵抗する事の出来ない技となる”との事である。実際、この方向へシフトしていく事により技が入った瞬間に腰から落とされてしまい抵抗出来なくなってしまうので、肘極めからその後の上段腕絡みへの移行が不要となってしまっている。また“接触点から合気力を通して相手を崩すという理合”により、相手がいかに抵抗していようが、たとえ肘が伸びずに曲がったままの状態であったとしても無力化し崩してしまうという事を実現してしまっている。もう正直今までの肘極めとは全く異なる技となってしまっているのだ。
それらについて詳しい解説の後、実際に色々な状態で代表師範の技を受けてみて理解を深め、またお互いに技を掛け合い体現可能かどうか試してみたりと参加者全員で正しく“頭に汗をかきながら”の研究を深める事となったのである。またこの代表師範の“接触点から合気力を通して相手の体幹中枢を直接崩す”という理合は最近の合気道S.A.の技の全てに共通する重要なテーマとなっており、我々は日々頭を悩ませながら稽古に取り組んでいる事を付け加えておく。
次の研究技は四方投げである。四方投げは合気道の技の中では重要な技と位置付けられているが、合気道S.A.では長年の組手・試合の経験・積み重ねにより“初見・抵抗という概念の無い演武等であれば話は別であるが、抵抗・反撃という実戦の場においては相手の腕の下を擦り抜ける”四方投げは現実的ではないとの結論に達し、現在では擦り抜けない四方投げへとシフトしている。具体的な形でいうと、捌き(外・内共に)からそのまま腕を誘導して上段腕絡みのような形にしてそこから真下へと落とす技へとなっているのだ。この技も捌きでの崩しが重要であり、また腕の誘導の仕方・四方投げの形になった時の力の通し方等々、様々な重要ポイントが存在するが…四方投げという技の研究であるので今回は四方投げの形になった時の力の通し方に重きを置いての研究となったのである。
演武とは異なる抵抗・反撃のある実戦の中においては四方投げの形にまで持って行けたとしてもそこから力を通す事が出来ず容易に相手の抵抗を受けてしまうのであるが、ここでも代表師範曰く“接触点より合気力を相手の体幹中枢へと通し相手の一番強い所を崩す事が重要である”との事である。実際に代表師範の技を受けてみるといかに抵抗していようが対応出来ずに何度も容易に倒されてしまう。変に拗られたり力で持って行かれる訳でもなく本当にごく自然に倒されてしまうのである。
代表師範の現在の技は長年の組手・試合経験に基づく研究の結果という事であるが、バチバチの組手・試合の中からこのような柔らかで滑らかな技が生まれたというのは世間一般の合気道S.A.に対するイメージからすると理解し難い事であるかもしれない。しかしこれは歴とした事実である。櫻井代表師範は実際の戦いの中で“使える技”としての合気道技をこのように進化させて来たのである。こちらも代表師範の技を実際に受け、お互いに技を試してみたりと非常に中身の濃い研究時間となった。
最後に二ヵ条である。二ヵ条という技は手首・肘を“くの字”にして関節を極める痛い技というイメージが一般的であるが、こちらも現在の合気道S.A.では痛くない二ヵ条である。痛くはないのであるが何故か抵抗も出来ずに腰から落とされてしまうという摩訶不思議な技である。少し前の段階として“手首と肘を折り畳む”二ヵ条もあったのであるが現在の代表師範の技は一気に体幹中枢へと合気力を通して相手を潰す技へとなっている。稽古の段階としていきなりそちらの技ではハードルが高過ぎるという事でまずは“折り畳む”技からの研究となったが、こちらはこちらで難しい。そのまま“折り畳んだ”だけでは手首や肘関節で吸収されてしまい全然相手は崩れないのである。
結局のところ、何度も繰り返しになるが“接触点から合気力を相手の体幹中枢へ通す事”必要になって来るのである。この技も代表師範の技を実際に受けながら研究を深めていくのであるが、今回の研究会を通して改めて合気道の技(というより櫻井代表師範の技が)は実際に使える技という信念を通して理合が構築されており、ある意味全ての技が共通しており、それに尽きるという事を強く再認識させられた。こちらは代表師範も常々仰っておられるが…一朝一夕で身につくものでは無く、薄皮一枚一枚を積み重ねて行くような地道な作業・稽古の積み重ねと己自身の研究心・正しい師匠についての正しい稽古、結局それに尽きるのであろう。
今回初めて参加された他流派の方にお話と感想を伺ったところ、やはり百聞は一見にしかず・実際に体験してみないと分からないものだと仰っておられた。この方は他流派の講習会等にも参加経験も豊富にお持ちのようで、この研究会においては技は勿論の事、特に実際に何度も代表師範の技を受ける事が出来たという事に感銘を受けたと仰っておられた。また機会があれば是非参加したいと仰っていただけたのは本当にS.A.門下生としては喜ばしい限りである。
合気道S.A.では最新の技術をYouTube等で公開してはいるが、やはり櫻井代表師範の技の凄さは実際に受けて体験してみないと理解する事は出来ないと断言出来る。S.A.の門下生でさえ動画では単純に“やらせ”のように見えてしまい理解し辛いとの事であるので、他流派・他武道の方々であれば言わずもがなであろう。
合気道S.A.のHPや動画等で少しでも代表師範の技に興味をお持ちの方がおられたら、是非ともこういった研究会等に参加されて実際に代表師範の技を受けてみていただきたい。正しく目から鱗の体験が出来る事であろう。
<合気道S.A. 広報部>

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