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実戦合気道 広域指導者認定合宿レポート

令和7年5月4日~5日実施


 令和7年5月4日・5日の2日間、東京都立川市近郊において合気道S.A.主催による“広域指導者資格認定合宿”が開催された。

 

 今回の合宿も全国各地から参加者が集い、また久々に参加された方や外国から参加された方もおられ、バラエティに富むメンバー構成での合宿開催となった。まず櫻井代表師範から合宿における目的・指針等についての説明があり、合宿開始となった。今回のテーマは“球の動きの意識を持つ・力の発生源の意識”である。

 まずは“構え・基本動作”からである。合気道S.A.においては他流派の方々の我々に対して持っているイメージとは異なり、“構え・基本動作”というものを非常に大切にしており、それは指導者合宿においても同様である。立ち姿から始まり、構えに対する意識や全体の形に対して本当に様々な注意が払われる。しかし形を気にする余り“構えの為の構え”になってしまってはいけない。植芝盛平先生の言葉にあるように“構えは有って無きが如し、歩く姿が武である”との域を目指さなければならないのである。

 その後、指導者合宿の特長でもある“他人からの客観的な目に晒される・他人の動きから自らの見る目を養う”という趣旨の下にまた数人ずつのグループに分かれて、先輩後輩関係無く忌憚の無い客観的な目でそれぞれお互いの動きを評価し合った。そこには上下関係の柵や忖度は無く、純粋に“武”を追求する為の真摯な姿勢があるのみである。この客観的な目に晒される稽古は非常に役に立つ。各々かなり色々な事に注意を払いそして考え、“自分の動き”というものを作り上げて来ているつもりでも、どうしてもそこには各自の癖や思い込み・認識違い等に影響されてしまうものであり、そういったものを客観的な目で評価し合う事により“新たな発見・気づき”があったり、動きの修正を可能とする。そしてそれだけではなく己の“見る目を養う”という事にも繋がって来るという正しく一石二鳥なものである。当然その“見る目”は指導の場においても威力を発揮する事になる。

 確かに他人の目に晒されるという多大なプレッシャーを受け、その中においても自分の考える“正確な動き”を表現するという事は非常に精神的にも肉体的にもタフな面もあるが、それにより得られるものの方が遥かに大きいのだ。これは基本動作においても同様である。基本動作にかなりの時間を費やし、そして普段の稽古の中で積み重ね作り上げて来たものの“答え合わせ”を合宿において行うのである。これは楽しくもあり恐ろしくもあるが、代表師範が常々仰っているように“合気道というものは本当に薄皮一枚一枚を地道にコツコツと積み重ねていくものである”という言葉に全てが集約されているであろう。

 本当に日々の研鑽とトライアンドエラーの積み重ねによってでしか得られるものは無いと実感させられるのだ。

 そうして構え・基本動作に十分時間を取った後、技へと入って行く事になるが…指導者合宿では体捌きにもかなりシッカリと時間を取り、理解と動きを深めていくことになる。体捌きというと見た感じは相手の攻撃を躱して…というイメージを持たれると思うが、代表師範曰く“体捌きは攻撃である”との事である。実際に代表師範の体捌きであるが、これは実際に経験してみないと中々理解は及ばないと思う程に、本当に体捌きだけで“崩されて”しまうのである。代表師範の動きが特別スピードがあるとかそういった単なる物理的な事ではない。当てられると思った瞬間に“ぬるっ”と目の前から消えて居なくなり、攻撃しているこちらは身体の制御を失ってしまうのである。

 体捌きの注意点としては…“身体の向き・後ろ足の張り・上下運動をしない”といった基本的な事から、“躱す 逃げるのではなく攻撃・相手と相対した時に相手を取り相手の中へと入り込んで行く・相手が攻撃の軌道変更出来ない、追って来れない瞬間まで我慢して待つ”といった更に踏み込んだ内容にまで理解を深めていったのである。

 

 最近、櫻井代表師範は“新合気術”という合気道S.A.の今までの集大成ともいうべき新たな部門を立ち上げられたのであるが…その技の中においては代表師範の“体捌き・崩し”だけで完全にこちらの身体は“死に体”にされてしまい、その後の技まで本当に必要なのか??と考えさせられるくらいそれらは“恐ろしい技”となってしまっているのだ。

 基本技においては前述の“新合気術”の内容にも触れつつ、現在の合気道S.A.の基本技の進化・改良によるアップデートされた内容においての稽古が中心となった。ここ最近の代表師範の技の進化は本当に目を見張るものがあり、アップデートされた内容は過去に例を見ないレベルである。持ち手・添え手から始まり、身体運用・力の通し方またはその意識等、本当に様々な事柄にまで及んでいるのである。それに合わせて合気道S.A.本部では公式YouTubeチャンネルを開設し、進化した内容を公開しているのであるが、やはり見るのと実際に技を受けてみるのとでは雲泥の差があるようで、参加者達の驚きもかなりのものであった。

 新たな基本技等については文章にしてしまうと長くなり過ぎる為、割愛させていただくが、興味を持たれた方々は本部公式YouTubeチャンネルを是非とも参照していただきたい。

 また今回の合宿においては合気道S.A.大宮の平畠幹彦弍段の教授参段審査が行われた。平畠弍段はS.A.主催のオープントーナメントに積極的に参加されており、常に優勝を含む優秀な成績を収めている方であるが、今回満を持しての教授参段審査となったのである。教授参段審査は通常の審査とは異なり、審査科目が“基本動作・基本技二種・指導法一種・合気道組手”とかなり難易度の高い審査であるが、平畠弍段はシッカリと勉強してきた事が感じられる落ち着いた姿勢で、見事に素晴らしい出来での審査となったのであった。

 教授審査は中々ハードルの高い審査ではあるが、今回新たな教授段が誕生した事は合気道S.A.の裾野を広げる事だけでなく、合気道S.A.自体のレベルの引き上げにも繋がる事になると信じている。

 

 さて、このように今回もバラエティに富んだメンバー・内容での二日間の合宿開催となった訳であるが、合宿で学んだ事であっても直ちに技が自分のものになったり出来るようになったりするものではない。それらは今後の具体的な指針・目標であり、自分の稽古場に戻った後の自己の研鑽にかかっているのだ。しかし代表師範の技を実際に受け、声を聞き、仲間達との切磋琢磨した時間は合宿ならではの他では得難いものであり、今後の修行に大きな意味を持つ事であろう。

 合気道S.A.の新部門である“新合気術”や進化・変化している技については本部公式YouTubeチャンネルにて適宜公開を予定している。しかし、やはり代表師範の技は実際に受けてみないとその凄さや驚きを理解する事は難しいであろう。

 合気道S.A.では幸いな事に今後も定期的に研究会や合宿等の開催を予定しており、これらは他流派・他武道の方々へも門戸を開放している。少しでも代表師範の技に興味を持たれた方々は、是非一度参加されて実際に体験してみる事をお勧めする。その一歩が新たな世界の扉を開く事になるであろう。

<合気道S.A. 広報部>