令和7年4月6日開催
2025年4月6日(日)、東京都立川市近郊にて「つき貫ける合気」研究会が開催された。ちなみに「つき貫ける」とは、技の特性を端的にあらわした代表師範による造語である。
今回取り上げられた技は、つき貫ける小手返し、つき貫ける側面入身投げ、つき貫ける四ヵ条抑えであった。
まずは、つき貫ける小手返しについて研究をした。技を掛けるうえで大切なのは、相手の下半身を崩す事だった。なぜなら、技を掛けようとしても相手の下半身が崩れていなければ、相手は空いている手で殴り返すなど、反撃する事が出来るからである。だから下半身を崩して、相手の反撃を封じるのである。
では相手の下半身を崩すにはどういう掛け方をしていけばよいのか。ちなみに技を掛けようとして相手と接触した部分(小手返しなら手の甲や手首など)に力を加えても、相手に力の方向を察知されるため抵抗されて崩す事は出来ない。
ならばどうするのかというと、まず両手を力が通るパイプとして使えるようになる必要がある。そのパイプを通して、自身から発した力を相手の体幹中枢へ流し込むように出来れば、相手を崩せるようになっていく。つまり相手との接触点に向かわず、相手の体幹中枢へ直接アプローチしていく方法が、相手の下半身を崩す技の掛け方になっていくのである。
そのようなアプローチの方法を体得するには、日々の稽古においてどのような力を出していくべきなのかを探るような稽古を続けていく必要がある。
ちなみに表面的な形にこだわるような稽古を続けていると、いつまで経っても有効なアプローチには辿り着けないので、注意するべきであるとの事であった。
次につき貫ける側面入身投げについて研究をした。側面入身投げには、伸ばした腕で掛ける方法と曲げた腕を煽るようにして掛ける方法があるが、どちらも技の基本原理は同じである。
掛ける際に留意するべきなのは、腕で相手を後方へ押そうとせず、腕の接触した部分から合気力を流し込み、相手を真下へ潰すように掛けるという点であった。相手を後方へ押すように掛けると、相手が逃げてしまいやすいからだ。また、表面的な力によるアプローチになってしまうので、相手に抵抗感を与えやすい。
だから相手と接した部分は優しく触れているだけで、技を掛けられるようにするのが良いと言える。すなわち相手に抵抗感を与えないためには、相手に抵抗する理由を与えてはいけないのである。そして腕を煽って掛ける場合は、煽ったぶんだけ相手が崩れていくようなアプローチが大切である。イメージとしては相手と歯車のようなギアを噛み合わせておくような感じだ。ギアで繋がっているのだから、自分が動いたぶんだけ相手も同じだけ動くのである。
代表師範の見本では、実際に代表師範が腕を煽ったぶんだけ受けの身体が沈んでいくのが目に見えてわかった。
最後はつき貫ける四ヵ条抑えについてで、立っている相手に対してすれ違いざまで掛けていく方法を研究した。この掛け方の場合、手首内側へ掛けようとすると自己の姿勢が崩れやすいので、手の甲側へ掛ける方が妥当であるとの事であった。掛け方は、四ヵ条に取った手首部分へ激痛を与えるのではなく、手首を通して相手の全体を崩すようにしていくというものだった。
代表師範から技を受けた感想としては、手首に痛みは一切なく、膝から崩れ落ちていくような感じだった。
以上3種類の技を通して研究をおこなったが、どの技に於いても根本的な原理は同じで「合気力を相手の体幹中枢へ通す」という事が大切であり、それを実現するためには、どのような力を出せばいいのかを知るための稽古が重要になってくる。そしてその際、身体の向きや掛ける時の形にこだわるのは良くない。これは小手返しの所でも触れたが、形にこだわった稽古ばかりをしていては有効な技は身につかないからである。
今回の研究会を通して痛感したのは、両腕をパイプとして使えず、無意識のうちに表面的な力に頼ってしまっているという事であった。なぜなら、表面的な力を使う方が簡単なので、そういったやり方へ逃げてしまいやすいからなのだろう。
でもそれでは今回の研究会で学んだ通り、いつまで経っても知りたい本質へは辿り着けないので、自分が出来ていない部分を素直に認めたうえで、色々仮説を立てて試しながら、根気強く力の出し方を研究するような稽古を重ねていこうと思った。
<合気道S.A. 広報部>
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