令和7年1月26日開催
2025年1月26日(日)、八王子市近郊にて「つき貫ける合気」研究会が開催された。今回の研究技は『つき貫ける天地投げ』『つき貫ける下段腕がらみ』『つき貫ける一カ条抑え』の三つが取り上げられた。
まずは代表師範より、普段の稽古への取り組み方について説明を受ける所から始まった。代表師範はよく「力のラインを見る」とおっしゃっているが、実際に線として見えているという事ではなく、もっと感覚的に「見える」ものなのだそうだ。そしてそれを言葉や文字で表わそうとしても難しく、表わせたとしても噓になってしまう。だからその真実を知ろうとするならば、実際に自分で触れて考え、感覚的に理解していくしかないのである。
そして、技の稽古をする場合も同様の事が言える。先人がやっていた事や指導者から言われた事をそのまま真似して単純に繰り返しやり「今日も良い稽古をした」とスッキリして終えるような稽古をしていても進歩するのは難しい。見たもの聞いたものについて、その成り立ちがなぜそうなるのかという事を感覚的に理解し、自分のものにしたうえで稽古をしていく事が大切なのである。
そのようにすると、結果は人それぞれによって見たもの聞いたものとは違うものになっていくけれど、その根本にある基本的な部分は同じものになっている。そのような過程を経た稽古が良い稽古であると代表師範は考えているのだそうだ。
その他にも、全般的な力の出し方などについて説明を受けた後、それを踏まえながら各技について研究を進めていった。

まずは「つき貫ける天地投げ」についてである。従来の掛け方に加え、さらに進化した理合による掛け方についても指導説明を受ける事が出来た。それは直接相手の中へ力を透していくというやり方である。実際に技を受けてみると、従来の技法である描いた球上を動くという掛け方よりも、一層「つき貫ける」掛け方になっていると感じた。そして、この理合によれば、相手の状態に関係なく、相手の中心を捉えて技を効かせていけるのだそうだ。
そのためには自己の内部を立体的に使ってアプローチしていく必要があると考えられるが、自分が掛けてみても他の参加者にかけられてみても、直線的なアプローチになってしまっていた。もっと力の出し方について研究が必要だと思ったが、代表師範いわく、その答えは基本動作の中にあるらしい。

次に「つき貫ける下段腕がらみ」について研究をした。相手の末端にこだわらず、相手の中心に力を透して相手を崩していく事を念頭に置いて進められた。
末端を意識した掛け方をすると、相手を掴んで引っ張ってしまったり関節を極めようとしてしまったりして、相手に抵抗感を与える結果になっていた。相手が抵抗感を抱くと、力が透りにくくなって技は掛からなくなると感じられた。
相手を掴まないようにする事で自己の両腕をパイプとして使えるようになり、技のための力を透せるのだそうだ。

最後は「つき貫ける一カ条抑え」について研究した。自分から動こうとするのではなく、透した力によって動き始めた相手の流れに乗っていくように動くという点に留意して進められた。ここでも先の二つの技と同様、相手の中心へ力を透す事や、末端を忘れて両腕をパイプにしていく事がポイントとなっていた。
結局、どの技に於いても留意すべきポイントは共通している。今回取り上げられなかったすべての技についても同様である。みんな一緒なのだから、それは学ぶ側からすれば、やる事が単純になるようでありがたい話なのだが、その共通した答えへ辿りつくのが非常に困難なのである。では答えへ辿りつくために何をすれば良いのか。それは先にも述べた通り、答えは基本動作の中にあるので、今後の基本動作の仕方を見直していくべきであろう。
また、感覚的な稽古についても常に留意して稽古に当たっていくべきである。どうしても頭で考えてしまう事が多く、気がつくと頭でっかちな理論で稽古を進め、結果的に基本から逸脱していく傾向がある。だから今後はもっと自分の感覚に目を向ける習慣をつけていこうと思った。
<合気道S.A. 広報部>
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