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「つき貫ける合気」研究会レポート

令和4年5月29日開催


2022年5月29日(日)立川近郊にて「つき貫ける合気」研究会が開催された。ちなみに「つき貫ける」とは技の内容を端的にあらわした代表師範の造語である。

いくつかの技を取り上げて定期的に開催されてきた当研究会も3周目となった。周回を重ねるごとに新たなテーマが盛り込まれてきたが、今回は「より攻撃的な技の掛け方」というテーマでおこなわれた。今回取り上げられた技は、小手返し、側面入身投げ、四ヵ条抑え、の3種類であった。

 

技が「つき貫ける」ためには自分の力を自身のどこから出すのかが大切になってくる。それぞれの技に於いて、まずは力の出し方について研究した。

力は核や背中などから出すという部分的な発想でやってきたが、それだとどうも違うらしい。なぜなら身体は本来一つの塊として動くべきなのに、部分的な発力で動くとその部分の動きだけが先行し、手足の動きが遅れて後からついてくる形になる。手足まで含めて同時に動く形が望ましいのである。

では力をどこから出すのかというと、全身からバランス良く出していくべきである。そうする事で相手にどのような力が伝わっているのかを悟られず、相手は技に掛かるというのが原理である。

 

力の出し方についての研究を進めた後は、そこで得たものを踏まえ、今回のテーマである「より攻撃的な技の掛け方」について研究をした。 

合気道技とは後の先を取るものではなく、先の先を取るものだという事は、言わずもがな皆様ご存じの事だろう。攻撃的に掛けるとは、相手の動きを待って動くのではなく、自分から動いて技を掛けにいくという、まさに先の先を取る掛け方の特徴そのものであった。

直立した相手に対して自分から腕を取りにいく形で掛ける稽古を各自おこなった。その際のポイントは自分の姿勢を崩さないまま動くようにする事であった。

試合に於いて自分から仕掛けていく状況は多々あるが、大概は自分の姿勢が崩れてしまっている場合が多い。良く見かけるのは、腕を取りに行く事にとらわれて、自分の上体が腰から折れ曲がった姿勢になっている状態だ。それでは、つき貫ける合気道技を掛けるための力を出しにくい。だから自分の姿勢を保ったまま相手を崩す動きが大切になってくるのである。

 

しかしやってみると、動きながらつき貫ける技を掛けるのは、止まった状態で力を流すだけの状況に比べ、非常に困難であった。技を掛けたいという欲が、焦ったような直線的な身体の使い方をさせているように感じた。

それを改善するためには、自分の欲を如何に抑えられるかが大切になってくる。それには自身が動いた時に、無意識下で基本動作通りの動き方が出来るか、という事が大切になってくるのではないかと思った。現状に於いて、自分が技を掛ける時の動きが、基本動作通りの動きではなく、相手を倒そうとするための動きになってしまっているからである。

ではどうしたら欲を抑えられるのか?まず第一に、頭で「考えて」動かないようにするべきだと思った。結局、頭で「考えて」動くから『相手を倒す』という目的のために動く方法を頭で「考えて」しまい、それに則した動き方を頭で選択してしまう。

そこを「感じて」動く方法に置き換えられれば、日々の稽古で培った基本動作の動きを出せるようになるのではないだろうか。

例えばある行動をしようとした場合、そのためにどういう動きをするのかを身体の各所が「感じて」各々の無意識な反応によって動いたならば、頭を介した命令伝達にならないので、頭の中にある「相手を倒す」という目的と関係なく、いつもやっている動きで対応しようとするようになるはずだ。無意識下では、いつもやっている事が出るとよく言うではないか。その作用が欲を抑えてくれるかもしれない。

 

今後は更に基本動作を反復していく中で「感じて」動く事を意識し、基本動作通りの動きを無意識に出せるようになる事を目指して稽古を進め、今回立てた仮説が正しいか否かを検証していこうと思った。

<合気道S.A. 広報部>