· 

令和2年 秋季実践合気道 広域指導者認定合宿レポート(A)

令和2年11月22日開催


2020年11月22~23日。合気道S.A.の広域指導者資格認定合宿の合宿が、立川近郊で行われた。

 

全国から稽古者が集まり、櫻井師範に教わった動きの確認と掘り下げを行う事の出来る二日間の濃密な合宿である。今回は初めての参加者がいたことで基本動作の基礎からのおさらいと、教授審査を受ける者がいたことで普段見る事のない合気道S.A.の教授審査を目にする事が出来た。

合宿の前に櫻井師範は、この合宿では「いい汗をかく稽古ではなく冷や汗をかく稽古であるべき」という話をされた。単純に思える動きであったとしても、緊張感をもって真剣に行う方が良いという話である。その様な言葉から始まった合宿は、やはり参加者全員が沢山の課題を突き付けられるものであった。

 

普段の稽古では、慣れているつもりでやってしまう動作、身体操作をひとつひとつ検証していく形で進んでゆく。なかでも難しいのがグループで適当に分かれて、本当に正しいのかというところを他者の目を通じて明らかにしていく練習法である。普段行っている基本動作を自分では正しいと思ってやっているが、他人の目から見てみると櫻井師範の仰っているような部分が出来ていなかったり、余計な力が入っている箇所、構造的に無理して動かしている箇所などが沢山見つかっていくというところで、それまで毎回稽古でやっていた動作そのものが間違いであることに気づかされてしまうのだ。

 

そしてそれを困難にするのが、一部を意識しないことを心がけるべきだという櫻井師範の言葉である。一部を意識することでそこに集中するあまり、他の部分が抜けたり適当になりやすいという。末端をなるべく意識しないようにして、全体を一塊として動かせるようにするのが良いらしい。言われてみれば心当たる話ではある。家具を組み立てていく際に全体を組み立ててしっかりと釘やネジを締めるのは最後にする方が良いという話のようなもので、どこかだけしっかりしててもダメなのだと思われる。いわゆる、立っている状態で既に自分の核となる部分から動いているか?動けているのか?という話にもつながる。

 

核となる部分というのは人によって若干異なるだろうが、動きの中心として存在する箇所であり、そこがグラグラしていると全身を一塊として動かすことが出来ない。全身を一塊にして動く為には、確かに末端ではなく核となる場所を中心に全身を動かすようにしないととても動けそうにない。

恐ろしいことに核すらも末端であると櫻井師範は説明していた。その後、技に入り昇級の技、昇段の技のポイントを次々に説明しつつ披露する櫻井師範。軽やかで滑らかな動きながら、技を受けた者は地面にしっかりと縫い留められてしまっている。まさしく手足の器用さやパワー、スピードというところとは違う動きを目の前で見せて頂き、さらにその上で一人一人の動きを見て回り、請われれば希望者に技を掛けていく。

 

ここで注意したいのは、櫻井師範の技を受けた稽古者が、櫻井師範の技のコレクターとなってしまう事だ。一人一人体格も違えば経験も異なり、性格まで異なるのに、櫻井師範の技の感触を自分自身が求めすぎたり、他人にも求めすぎてしまうとそれは己の技を身につけるという考えよりも、櫻井師範の技の再現にこだわるという考えとなる。一つに集中してしまって他のところが疎かになっては意味がない。櫻井師範の技に近づきたいと思う事は良い事だが、それで他者の技の効きよりも再現度の話をしだしてしまうと、やはり師範は凄いと感心して終わってしまう。師範の技の再現度を求めるだけではなく、何故そうなるのか、どうしていきなり入れるのか、という部分に対しての現状の自分なりの表現方法と価値観をしっかり持って、いつか櫻井師範の技を自分なりに捉えて表現できるようになろうという考えで櫻井師範の技と向き合わないと、いつまでたっても自分の技が形成されないのではないだろうか。改めて「櫻井師範の動きに近づけようとした、自分なりに再現した動き」を追求するよりも「櫻井師範の目指すモノを自分なりに突き詰め、表現した動き」を探求していかねばという思いをより強く感じた。自分自身のみで行う基本動作であっても複数の要素が絡み合っているものを丸めて包括した動作をする必要があり、それが対人で行う技となれば要素はさらに複雑かつ多岐にわたるものとなる。

 

以前櫻井師範は、複数の要素を内包した動きを「型」として捉え、よく考えながらひたすら深堀りしていくことで、ようやく無意識に相手の反応に関係のない動きが出来るようになる(かもしれない)と仰っていた。今回の合宿では八王子道場の山下弐段が教授参段の審査を受けていた。普段は基本動作も技も器用に行うが、教授審査ということで非常に緊張しており、基本動作に苦戦がみられた。しかしその後の技法や指導法、スパーリングでは緊張がほぐれ、良い動きをしていた。

受験者の今後の活躍に期待したい。また、今回初参加の平畠弐段は、普段注意していなかった部分が何か所も自身で発見されたようで、これからは可能な限り合宿や試合に参加していきたいという強い思いを口にしていた。

 

是非とも教授を目指して欲しいところである。

<合気道S.A. 広報部>