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他流派参加者歓迎
「オープン合気道講座」レポート

参加者の感想(1)参加者の感想(2)

 平成29年10月29日(日)に合気道S.A.主催の他流派参加歓迎 オープン合気道講座が東京都立川市近郊で開催された。
 二ヵ条(二教)という技は、関節技を有する武道・武術の各流派に名称は違えども存在する一般的な技法である。相手の手首関節と肘関節をくの字型にして相手を制し抑える技であるが、相手もその不自然な形から逃れようとするのでその形に相手を誘導するには難易度の高い技術が必要になる。ある流派では、二ヵ条の型に入るために当て身で相手を無力化させその隙に入る方法や他の流派では、腕力技で入るなど様々である。しかし、実際にはなかなかうまく誘導出来ないのが現実であるようだ。
 合気道S.A.の発想は、組手の経験などを生かしてコンビネーション技法を交えて二ヵ条のみに固執せず技法の変化や相手の抵抗の度合いに合わせて如何に相手を二ヵ条の型に導くかを研鑽するというものである。たとえ、相手を二ヵ条の型に導いてもそこから二ヵ条を極めるためにはさらに高難度の技法が必要になる。ある流派では、相手の手首関節のみを捩じ切るような締め方をするが、それでは自己より相手が力強く手首や肘を固め抵抗したした時など二ヵ条が極められなくなる。

二ヵ条手の添え方工夫で相手を崩した状態のまま極める稽古風景

 そこで今回オープン合気道講座のテーマである二ヵ条における手の添え方研究である。
 二ヵ条を極めるとき相手の手甲と手首を掴み手首に激痛を与え極めようとすると相手もその力の方向に反応して極まらなくなることが多いが、相手の手首関節全体を包み込むように固定すると相手は、手首関節や肘関節から力を発生させることが出来ず力の方向も見えないため下半身から崩れ二ヵ条を極められる。相手を変えながらこの技法研究をしてみると手首関節のみを捩じるのに対し手首関節を包み込むようにしたほうが相手は抵抗しにくいことが理解できた。
 また、二ヵ条を振りかぶり極めるのではなく手の添え方を工夫して相手を崩した位置で自己の胸や腰前で極めるような技法は、重要な体験であった。どのような技でも相手と接触している部分に力を加えようとすると相手に抵抗されやすいが接触している部分を忘れ相手の全体像をとらえ制圧するようにすると技が極まりやすくなり効果的であると納得した。

下段腕がらみの途中相手を前傾前のめりに崩す研究稽古風景

 次に下段腕がらみ(格闘技的には、アームロック)技法の途中相手の腕を背中側で自己の両腕と絡めるとき相手を前傾前のめりに崩し誘導しないと下段腕がらみ技法が極まりにくくなるが、どのように相手を誘導すればよいかの研究が行われた。ヒントは、天地投げの地側の誘導に似ており上下の崩しで相手の腕を誘導すると自己を中心にした渦に相手を巻き込み崩すことが可能になり技に入りやすくなることに気付くことが出来たのは大きな収穫であると思う。
 三つ目のテーマは、四ヵ条の締め方であった。ある流派では、相手の手首脈拍部に自己の人差し指付け根をあてがい人差し指付け根に力を集中して相手に激痛を与え制しようとしているが、これだと二ヵ条同様相手の抵抗力が強い場合返されてしまうこともある。これもまず相手の手首関節を包むように固定し関節の機能を奪い手首に添えている部分を支点に相手の体全体下半身を崩すつもりで行うと結果的に相手脈部に痛みがあっても体全体を崩す方法が見えた。

四ヵ条極め崩し方の稽古風景

 今回の各テーマも合気道技法において興味深い技法を研究するよいきっかけになったので今後の開催も楽しみである。合気道S.A.は、組手を主体とした合気道団体と思われがちだが合気道組手は、実戦合気道技法研究のひとつであり型稽古や伝統技法研鑽の一環であると理解してほしい。

<合気道S.A. 広報部>




 平成29年10月29日、合気道SA主催による第3回オープン合気道講座が東京立川近郊で開催された。今回のテーマは『2カ条締め手の添え方の研究』『下段腕絡みの相手を前傾に崩し導く技の研究』『4カ条締めの研究』の3つである。

 まず2カ条であるが、何パターンかの2カ条への入り方を試してみた。これらの入り方の違いに関わらず、共通の重要な要素として『手首をしっかりとロックする・握らずに優しく挟み込む・手首自体を極めようとはしない・押し込まない』という点が有るのが理解出来た。特に2カ条の形にしてそこからどう極めるのか思案しがちではあるが、実はその形になるまでが勝負であるというのは重要な気づきであった。

 次に下段腕絡みであるが、この技は相手を前傾に崩すのが肝心であるが実はこの崩しが非常に悩み深い所であった。しかしこの点につき、単に横方向への崩しではなく上下方向の崩しを加味するのが重要な意味を持ち、その崩しを上手く使う事が出来れば相手を容易に崩し技に入る事が出来ると実感する事が出来た。この時にもやはり『手を強く握らず優しく挟み込み引っ張らない』という事が重要であった。

 最後に4カ条であるが、この技は手首付近を取られる事により全身を制されてしまうある意味合気道らしい不可思議な技であると言える。この技の注意点としては小手先だけでコネらないという事。どうしても持った部分に固執してしまい、そこを何とかしようと頑張ってしまうのである。その点につき、代表師範から『小手先に拘らない・関節を徐々に詰めて行き力を足の裏に落とす』という助言を頂いた。足の裏に落とすというのが掴み難い場合には、その前段階として膝に落とすイメージで稽古をすれば良いとの事であった。
 これらの技を通じて、共通して感じられた事は『力を入れて握るのではなく優しく挟み込むように持つ事で、相手に力の方向を悟らせないようにし抵抗を防ぎ反撃をさせない・小手先に固執するのではなく技は背中に掛けるイメージで掛ける』という事であった。当然の事ではあるが、頭で理屈が理解出来たイコールその技が出来るという事ではない。そこに到達するまでには地道な稽古の積み重ねによる地力のアップ・自分自身による様々な試行錯誤が必要とされるのは言うまでも無い事であろう。

 代表師範によると、『全ての技の元は基本動作に有る』との事であった。ただ漠然と基本動作を行うのではなく、力の方向性や技の具体的なイメージ等を持ちながら稽古する事が必要であると言う。千里の道も一歩からではないが、技の研鑽において簡単な近道などは存在しないという事であろう。

 今回のオープン合気道講座においても、このような様々な重要な気づきを得る事が出来、大変に有意義な時間を過ごす事が出来た。

 最後に、今回は残念ながら他流派の方々の参加は無かったが、是非ともこういったオープン講座や試合等にも積極的に参加していただき、互いの技術的な交流や考え方・稽古方法等々も含め様々な刺激を与え合い、お互いの流派の更なる向上を目指して行ければ良いと考える次第である。




 平成29年10月29日(日) 合気道SAの櫻井師範の元に合気道家が集まった。
 「出来る出来ない」ではなく「自分の技の向上」を目的とし、「対処療法」ではなく「根本治療」を目指したい、という櫻井師範の言葉から、今回のオープン合気道講座は始まった。

 今回のテーマは3つ。

 「二カ条の際の手の添え方」
 「下段腕がらみに入る際の相手の崩し方」
 「四カ条の締め方」

 まず「二カ条の際の手の添え方」から始まった。
 相手の手首と肘をそれぞれくの字くの字に折り曲げ、相手をうつぶせに制するというのが二カ条の形なのだが、櫻井師範曰くおよそ関節技を使用する格闘技や武術などでは大抵技術体系に入っているという。そしてそれだけよくある技でありながら、手首と肘をくの字にされるという不自然かつ不自由な状態にされるのを人間は嫌うため、実は非常に高い技術で相手を誘導する必要があるというのだ。

 練習では自分から相手の手首をとり、振りかぶって二カ条を極めるという形と、相手に掴まれた状態から蛇が絡みつくかのように手首同士を絡ませて二カ条を極めるという2種類をそれぞれが掛け合うが、黒帯同士や既に相手の手の内を知り尽くしている同士、試合にも出ている合気道SAのメンバー同士のため、なかなかうまくいかない。

 櫻井師範は会場を歩き回り頭をひねっている参加者を、次々と二カ条を極めて下半身から崩してゆく。”両手とも力を入れず、相手の手首を包み込むように手を添える”。ふわりとした何とも頼りない気がするその状態から動きをスタート出来れば、力の方向が悟られないため抵抗力を出すことが出来ず何度もかかってしまうという。

 二カ条を極めるとき相手の手の甲と手首を掴み、ねじって極めようとすると、痛みに反応して抵抗されやすい。その状態で極める事が出来たとしてもそれは相手よりも力が強かっただけの話でしかなく、技とはかけ離れてしまう。櫻井師範は受けの手首全体を包み込むように固定し、ねじることをせずに相手に力を伝えることが重要だと解説するが、実際に自分たちでやってみると非常に難しい。どうしても相手を固定しようと力が入ってしまっているようだ。

 櫻井師範は力で技が極まればそれでいいし、素早く動いて相手が反応しないままで技が極まるならそれでもいいという実践的な考えの持ち主である。しかしそんな櫻井師範の二カ条を受けてみると驚くほど痛みは無い。

 その後、二カ条を動きのなかで一瞬で極める練習として、それまでやっていた形ではなく、相手の崩れた位置に直接かけるような低い位置での手に対しての二カ条の練習にうつる。こちらは振りかぶって極める形のように、固定している状態から極めるというものと比べると格段に難しい。相手の崩れた高さの手の位置に対してかけるということは、いわば動いている相手の一瞬を捉えて技を極めるようなものとなるため、一つ一つを動きを止め、分解して形を覚えようとする練習方法が取りにくいためである。

 止めて確認できる技すら満足にかけられない者が、動きの中で正確な技を使うのは難しい。櫻井師範は相手の手首や腕をとっているからといって、そこに何かしようとしてはいけないという。だからこそ”両手とも力を入れず、相手の手首を包み込むように手を添える”状態にしてから全身の力を使って相手全体に対して効果的に力を流す必要があるということなのだろうと思われる。簡単に出来る動作ではないが、大きなヒントを得る事が出来たと感じられる、密度の濃い練習であった。
「下段腕がらみに入る際の相手の崩し方」
 下段腕がらみという技はあまり他の合気道団体で使用されるのを目にしない技ではあるが、合気道SAの試合では何度もこの技で決着している、いわば実践的な場でも威力を発揮しやすい技の部類に入る。しかし、この技はどうしても力任せに相手の腕をとらえ、相手の関節の動かない方向に極めるという形になりやすい。というのも下段腕がらみは相手の片腕を背中側で両手で絡めて、下側に極めうつぶせに制し抑える必要があるのだが、先に自分が背中側に入ろうとして無理のある入り方をしやすいのだ。

 今回櫻井師範が提示したのは、相手がまっすぐ突いてきたものを捌き、その腕を動きの中でスムーズに下段腕がらみの形に持っていく方法であった。相手の突きを捌き、突いてきた腕に手を添え「天地投げの地の側の腕の動きのように操作」しながら回転動作を同時に行うことで、相手の腕全体を下方に誘導しつつ、さらに回転動作によって螺旋状に相手の腕と身体が巻き取られてゆく。先に自分が背中側に入るなどという無理は一切なく、捌いた箇所でくるりと回転することで、あたかも相手が勝手にお辞儀をしてくれたことで背中側で腕を絡めやすくする。

 実に合理的に自分の望む形に相手を導いてゆくその方法は、機能美ともいえる洗練された武術の奥深さを感じさせた。他の技の練習と理解度も同時に必要である、という部分こそあったが力技になりやすい下段腕からみという技を、武術として本来の姿を取り戻させる、実に有意義かつ収穫の多い練習であった。

「四カ条の締め方」
 合気道SAでは四カ条を「表」と「裏」の二通りで大きく分別している。相手の手首甲側のくるぶしあたりに、自分の手の人差し指の付け根があたるような形で手首を包み込み、力を伝える「表」、相手の手首内側の脈部に、自分の手の人差し指の付け根が当たるような形で手首を包み込み力を与える「裏」。どちらも自分の人差し指の付け根をあてがう事はするのだが、そこに力を集中して相手に激痛を与えることで四カ条をかけるというのは非常に難しい。人間は痛みに対して必死で抵抗するためである。

 だからこそ、相手の手首に痛みを与えて技を極めるという形ではない方法論が必要となる。そのためには二カ条の時と同じく、受けの手首全体を包み込むように固定し、ねじることをせずに相手に力を伝えることをするのが良いのだという。ポイントの一つとしては、相手の手首関節の自由度をなくすことで、それも力ではなく手首全体を包み込むように固定することで相手がねじったり曲げたりすることが出来ない状態とすること。そうしておいてからその手の先にある相手の身体の背中側を動かすように手を動かすと、相手の身体全体が前に泳ぐような格好となり、結果耐えられなくなってうつぶせに倒れてしまう。

 初めて四カ条を受けると手首に瞬間的に激痛が走り、その痛みにつられて倒されてしまうかの様に感じる者が多い。しかし実はそれは逆であって、自分が崩される際に相手の手の動きよりも自分の反応、受けが遅いことで相手の人差し指の付け根が当たり痛みを感じるというだけのようだ。結果的に痛みを感じてはいるが、その痛みで崩されているわけではなく、崩されてゆく過程でそこが当たっていることを痛みという信号で感じ取れているだけであると理解できた。

 恐ろしいのは手首の一点以外どこも痛くないのに既に全身が崩されていること。手首の一点を除きどこも痛くないのに、そこ以外全てがすでに崩されて死に体とされているという事実は脅威である。そこに気づけただけでも実に収穫のある研究であった。
 3つのテーマは全て興味深く、奥深いものであった。
 合気道という武術の奥深さ、得体の知れなさを、一つ一つ紐解き、検証して丁寧に解説してくれる櫻井師範。だが言葉にするとそれは全て嘘になってしまうと平然と言う。だから練習を積み、感覚的に捉えることが重要だとも。今回のレポートではあえて稽古という言葉を使わず、練習と表記したが、これは櫻井師範があくまで一緒に研究していきましょうというスタンスで話をされていたからである。

 普段の稽古とは異なるオープン合気道講座は、目的があるものにとっては必ず役に立つ楽しい時間となるだろう。

 また、櫻井師範はやりたい技や気になる動作があれば、自分が理解している範囲で検証に付き合うという。大抵の場合、先生となる人物が自分の知っていることを弟子となる人物達に教えるだけという事が多い中、櫻井師範は募集をかけて気になるものを一緒に検証して、技の向上に努めたいというのだ。是非、気になるテーマがあれば、自流、他流問わず櫻井師範にメールしてほしい。
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国際実践合気道連盟「合気道S.A.」