【このウィンドウを閉じる】 
オ-プント-ナメント
実戦合気道選手権大会 試合結果
【実戦合気道組手大会 講評】
 戦いの間合い、正しい技の使い方が意識できていなければそれはただ単に力比べをしているだけの技の向上という本質からかけ離れた内容の競い合いにしかならない。合気道S.A.における「試合」はあくまで技の追究の一つの側面であるため、選手同士の単なる力比べとなってしまうのは正していかなければならない。今回の大会では櫻井師範による厳密な審判によってそれが明らかになった。

 平成30年3月4日(日)、実戦合気道選手権大会は東京都立川市近郊で行われた。今大会、ルール説明の際に櫻井師範は、相手の肘を抱え込む動作、横並びになって引っ張り合いを行う動作、次に繋がらないような打撃、ただ単に相手の動きから逃げるための離脱動作。上記は全て減点対象となり、さらには指導をどんどん取るようにいたします、と述べた。

 技を掛けに行くということはそれだけのリスクを背負って行動を起こす事であり、相手の行動に対して行動を起こす後の先のようなものをただ狙うだけの消極的な行動よりも評価されるべき行動だというのが合気道S.A.の試合における価値観である。また、技と力が拮抗していて膠着状態になるならまだしも、力と力が拮抗した膠着状態というものは、どうしても発生しやすいという「試合」においての問題点の解消を狙ったものでもあった。

 そして実際に試合が始まってみると、過去に例がないほどに指導、注意、反則負けが発生した。これは、決して選手たちがルールを軽んじていたわけでも、守ろうとしなかったわけでもない。自分が不利な状態を嫌っての組み手争いからの離脱、相手の意識を逸らして技に入りたいが故の単発の打撃、一度有利な形で掴んだ相手の手を放すまいと自分の胴体に近づけて抱え込む……どれも選手が「勝とう」とするあまり、結果としてルールで禁止されている行為に近づいてしまっただけというものであるというのが見て取れた。

 ルール上許されるが反則ぎりぎりの動作を皆が行って、その結果指導、注意、反則が出たのではなく、あくまで今までは厳密にとらずにいたものを今大会でしっかりとった結果である。本来の目的である「正しく本物といえる嘘のない技を目指す」というところよりも、努力して稽古を重ね「力と技を駆使しての勝利」を目指すという姿が出てしまったのだろう。

 そんな中、連携した動きや側面からの攻撃、また攻撃における積極性が途切れなかった選手たちが勝利を勝ち取っていった。相手のペースに巻き込まれず戦った桜井圭四郎選手(合気道S.A.東大和)。連携技や返し技で間断なく戦った木村圭吾選手(合気道S.A.品川)。そして部門優勝を果たした山本鏡明選手(合気道S.A.八王子)は小柄ながらパワーとスピードのバランスが良く、相手の脇をすり抜けて一瞬で極める三ヵ条を警戒させて他の技……と自分の術中に導く事ができていた。

 総合優勝を果たした田島尚樹選手(合気道S.A.昭島)は、体格に優れていながら決してパワーで押し込むことなく、相手へのプレッシャーをかけ続けたまま連携技や側面からの攻撃を掛け続け、安定した勝利を掴んでいた。どんなに有利な状態で相手の腕をとっても、抱え込むことを一切せず技に持ち込もうとする姿は、「正しく本物といえる嘘のない技を目指す」という執念を感じさせた。

 最後に、今大会で目立った「単発の打撃に対しての指導」に対しての一つのヒントとなる事例をあげる。田島選手と戦った斉藤康博選手(合気道S.A.東大和)が、下段回し蹴りを出してから手を取りに行こうとして指導を取られ、その後お互いの両手が絡み合う寸前に少し下がろうとした田島選手に対して斉藤選手が膝蹴りを繰り出し、一瞬動きが止まった田島選手に対して技を掛けに行って崩しに成功するという場面があった。この場面こそが合気道S.A.のルールの難しさでもあり、面白さでもあるのではないか。

 技を繋げていく過程で適当に打撃を入れようとすると、どうしても途切れてしまう。相手の腕を誘導して前に崩しても、そこに正面から打撃を入れたりしたら相手はつんのめっている動作を打撃が当たる事によってストップ、さらには威力によって重心も戻され、結果崩れる前の状態となる。もちろん打撃が当たったダメージは相手にはあるだろうが、その前に施していた相手を前に崩すという動作そのものは自らの打撃によって断ち切ってしまっている。

 打撃で相手を倒すという世界観であれば、相手は加速しているので威力倍増と捉えられるが、逆にこれを合気道的な流れの存在しない動きと捉えると、打撃の使い方も見えてくるかもしれない。
【実戦合気道組手大会 結果】
総合優勝 田島 尚樹 (合気道S.A.昭島)
部門優勝 山本 鏡明 (合気道S.A.八王子)

山本鏡明選手(左)、田島尚樹選手(右)

田島尚樹選手(左)、山本鏡明選手(右)

左から、
山本鏡明選手・櫻井文夫代表師範・田島尚樹選手

<合気道S.A. 広報部>
【このウィンドウを閉じる】 
国際実践合気道連盟「合気道S.A.」